司法書士の業務内容について

司法書士の業務内容について解説します

司法書士の「不動産登記」業務とは

不動産登記

●不動産登記とは

「不動産登記」とは、土地や建物の所在地や地籍などの物理的現況と、所有者の住所や名前、担保権などの権利関係を登記記録に記載することをいいます。登記記録を一般公示することは、不動産取引(土地や建物の売買など)の安全を助成する役割があります。司法書士は不動産を含む”登記の専門家”であり、不動産登記に関する書類製作や申請などの手続きを円滑に進めることができます。

            

不動産登記を依頼するケース・・・

司法書士に不動産登記を依頼するケースで多いのが、新築や中古の不動産の売買に伴う<所有権保存>や<所有権移転>、親族が亡くなり土地や一戸建て、アパート、マンションなどの不動産を受け継いだ相続人が不動産の名義変更をする<相続登記>や<相続手続き>、住宅ローンを組む時に金融機関が担保にするときに必要な<抵当権設定登記>、住宅ローンの返済が完了したときの<抵当権抹消登記>などです。

●相続登記とは

司法書士が得意とする不動産登記の中に、「相続登記」があります。相続登記とは、故人から受け継いだ財産の中に不動産がある場合に、不動産の名義を相続人の名前に名義変更手続きを行うことをいいます。相続登記を司法書士に依頼すると、戸籍謄本の取得代行や相続人同士の遺産分割協議書の作成代行などを任せることができます。一言に不動産の名義変更を行うといっても、戸籍謄本や除籍謄本等の必要書類を揃えたり、相続人が未成年であれば特別代理人の選任申立をしたり、相続人が多数いれば遺産分割協議書(相続人全員の署名捺印)を作成したりと、個人的に行う手続きとしてはとても手間と時間がかかります。このような手間を省くためにも、相続登記に詳しい司法書士に依頼することで円滑に手続きを進めることができます。司法書士とのやり取りは主に郵送となりますが、司法書士に依頼をしてから1カ月ほどで相続登記が完了するのが一般的です。

●抵当権抹消とは

司法書士が行う業務の中に不動産登記がありますが、不動産登記をするケースの一つとして「抵当権抹消」があります。土地や建物を購入するときに住宅ローンを組みますが、金融会社は借入の条件として抵当権を設定し不動産を担保に入れます。住宅ローンの支払いが滞り返済ができなくなった場合、債権者である金融機関は担保に入れた不動産を裁判所に売却してもらうことで返済額を回収するようになります。ここでいう「抵当権抹消」とは、金融機関に借り入れていた住宅ローンの返済が完了したときに行う、抵当権の登記を消すことを指しています。抵当権抹消を行わないと不動産の売却ができない場合や、新たに融資を受けて不動産を担保にすることができないといったことがあります。そのため、住宅ローンの返済が完了し、金融機関から” 抵当権の登記を抹消する書類”が送られてきたら直ぐに抵当権抹消の手続きをするようにしましょう。

司法書士の「商業登記」業務とは

商業登記

《商業登記とは》

商業登記とは、会社の商号や所在地、役員、事業目的等を法務局の登記記録に記載することをいいます。商業登記は一般公示されるため、会社同士で取引をするときに安全かつ円滑に進めといった役割があります。司法書士では、商業登記で必要になる書類作成のほか、商業登記の代理申請、定款作成の準備など、会社設立に関連する業務全般を行っています。

商業登記をする必要があるとき・・・

会社は商業登記をすることにより設立となるため、<会社を設立するとき>には必ず設立登記の申請をする必要があります。また、すでに登記がしてある会社でも、<役員が就任・退任、氏名や住所が変わった時>、<商業の目的が変わった時>、<本店の移転時>、<組織を変更する時>、<会社の商号が変わったとき(有限会社から株式会社へ)>等、変更になる人から2週間以内に変更登記を申請するのが原則です。会社の状況や規模によっては、変更登記に必要な書類や手続きが複雑になることが多いため、商業登記のプロである司法書士に依頼した方が時間や労力を節約できるといったメリットがあります。

《設立登記の主な流れ》

会社を設立するための設立登記を、司法書士に依頼したときの主な流れは以下の通りです。尚、費用支払いのタイミングや細かい手続きの流れに関しては、各事務所により異なります。詳しくは直接、各司法書士事務所にお問い合わせください。

①司法書士事務所に問合せ・見積もり・申込

メール又は電話で司法書士事務所に商業登記について「問合せ」をします。問合せの段階までは無料のところもあるので、不明な点があればこの時点でよく確認しておくようにしましょう。担当者と打ち合わせが完了し、依頼内容や費用などをよく確認した上で「申し込み」をします。

②必要書類の取得や作成

登記申請に必要な書類(会社設立登記申請書や定款、登録免許税貼用台紙、印鑑届書、印鑑証明書、本人確認証明書、発起人全員の同意書等)を取得・作成します。司法書士では、定款の作成などをはじめ必要書類の取得や作成のサポートを行います。

③設立登記を管轄の法務局に申請

必要書類や押印の不備がないかと確認したあとは、「設立登記を管轄の法務局に申請」します。管轄の法務局とは、会社の本店がある所在地を管轄している法務局です。設立登記の申請も司法書士が代理で行うことができます。

④設立登記が完了

司法書士が管轄の法務局に設立登記を申請したあとは、1週間から2週間の審査期間があります。審査で不備がなければ補正日(審査結果がでる日)までに連絡がなく、無事に「設立登記が完了」となります。登記簿謄本や印鑑証明書が取得できるようになります。

司法書士の《過払金請求》業務とは

過払金請求

●過払金請求の流れ

「過払金請求」とは、金融業者からの借金の返済で払い過ぎた利息(過払金)を請求する手続きのことです。司法書士は過払金の請求額が140万円以下である場合に限り、依頼者の代理で過払金請求の手続き業務や、過払金請求訴訟を起こすことができます。以下は、司法書士に過払金請求業務を依頼したときの、主な手続きの流れです。

【1. 司法書士事務所に問合せ・見積もり・委任契約を結ぶ】

メール又は電話で司法書士事務所に過払金請求について問合せ・見積もりをします。担当者との打ち合わせで依頼内容や費用等をよく確認した上で、過払金請求の委任契約を結びます。

【2. 金融業者に取引履歴の開示請求を行う】

過払金の金額を再計算するために必要な「取引履歴」を、司法書士から金融業者へ開示請求をします。個人で開示請求することも可能ですが、司法書士から開示請求をした方が金融業者の対応が早いようです。金融業者から取引履歴が開示されるまでには、早くて約2週間、遅くて1~2カ月かかるとされています。

【3. 引き直し計算をする】

金融業者から取引履歴が取得できたら、「引き直し計算」をすることで最終的な過払金を出します。

【4. 金融業者へ過払金請求と交渉】

過払金の金額が確定したら、司法書士から金融業者へ「過払金請求」と「交渉」が行われます。過払金請求は司法書士と金融業者が直接交渉を行うため、依頼者は直接交渉をする必要はありません。ここで交渉が成立しない場合は、裁判で過払金返還請求訴訟を起こします。訴訟になるとさらに時間がかかることがあるため、法律に詳しい司法書士(過払金額が140万円以下の場合)に依頼して書類などを代行してもらうとスムーズです。

【5. 過払金の返還】

交渉や和解が成立すると金融業者から過払金の返還があります。返金が完了するまでの期間は、金融業者により異なります。一般的には交渉や和解が成立してから約2カ月~4カ月かかるとされています。